しゃぼん玉


メイがリクから離れて数秒後、不審な者がメイの前に現れた。


歳は30代後半ほどで、モスグリーンのコートを着用。

わざと伸ばしているのであろうアゴひげが際立つ、目つきの悪い男。

メイのことを待ちぶせしていたらしい。


「君、S高の子だよねぇ?

ずっと前から見てたんだよね~。

良かったら、雑誌のモデルやらない?

君なら、水着着てくれるだけで、たくさんお金出せるよ~」

「……」

なめ回すような男の視線を無視し、彼と目を合わせないよう、メイは黙って歩いた。

宇都宮のことを思い出し、吐き気がする。

もう二度と、会いたくない男……。

恐怖心がよみがえる。