しゃぼん玉


「……そんなに女と付き合いたいなら、私じゃなくて他の女にそう言えばいいじゃん。

リク、バイト先でモテるんでしょ」

メイは泣きそうな声でそう返した。

キラキラ輝く無数の星も、メイと一緒になって泣き出しそうだ。


リクは首を横に強く振り、

「メイ、違う……。

女と付き合いたいんじゃなくて、俺はメイと一緒がいいんだ。


ミズキちゃんの弟のこと、忘れろなんて言わない……。言うつもりない。

ただ、それ以上に俺のこと好きになってくれたら、嬉しい……それだけ」

「……そんなの、分かんないよ……。

リョウはリョウで、リクはリクじゃん……」


メイは、悲しみでシクシク痛む胸を押さえる。

「もう、家近いから、ここでいい」


二人は、星崎家まで数十メートルほどしかない歩道にいた。

メイはそこから走り去る。


リクは、メイの後を追いかけるべきか追わない方がいいのか迷い、その場で立ちつくした。