メイとの関わりに難色を示していたリクの両親·義弘と正美も、最近、考え方を変えたようだった。
義弘達が嫌っていたのは、「虐待されて育ったメイ」ではなく「虐待」という残酷な現実。
義弘達が考えを変えたのには、ナナセの影響もあった。
ナナセがリクの家庭教師をしていた頃、
リクとメイの関わりに難しい顔をしていた義弘に、ナナセは言った。
「俺はリク君を応援しています。
メイちゃんのことも、良い子だと思います。
なので、リク君とメイちゃんのことを、応援してあげてほしいんです」
全面的に信頼している教え子にそう言われたことがキッカケで、義弘は、リクとメイのことを違う角度から見るように努力した。
正美もナナセに対して良い印象があったため、義弘に染められるように、メイへの先入観を崩していった。
義弘と正美の応援は、まだぎこちないものだけど、リクにとっては大きな前進だった。
けれど、メイはやはり、リクに対しては心を開ききれていない。


