メイは、メグルと共に、学校帰りのファーストフード店にいた。
だが、今までと違うのは、メイがここで食事を済ませないこと。
そして、こづかいで物を購入出来ること。
穂積家の娘だった頃は、金が無くて万引きしたり、外食で腹を満たすことが当たり前だった。
けれど今は、ミズキ達がいる……。
家に帰れば、夕食を作って、自分の帰りを待つ母親がいる。
こづかいをくれる父親がいる。
そう思うと、少食の自分は寄り道して何かを食べてはいけないと、メイは感じた。
メグルもそれを分かってくれ、二人は飲み物の購入だけで済ませた。
清が亡くなって以来しんみりしていることが多かったメグルだが、
「メソメソばっかしてらんない!
こんなの、あたしらしくないしね!」
そう言って、人がいる所では今までのように明るく振る舞っていた。
それに、メグル自身も、清の死を知ったクラスメート達に心配される中、このままではいけないと感じていた。
そうやって落ち込んでいても、時間は過ぎていくから……。
メグルは今日、一郎に渡されたある物をメイに読ませたくてここに誘ったのである。
「これ読んで、あたし元気が出たんだ」
メグルがメイに手渡したのは、和紙で出来た便箋。
生前、清が書いた手紙だった。
「ばあちゃんね、かなり前から自分の病気のこと知ってたっぽい……。
自分が死んだら、あたし達にこれを見せてって、じいちゃんに頼んでたらしい」
メグルは普段通りのサバサバした口調だ。
メイはドキドキしながらも、ギュッと胸が締め付けられるような想いで、その手紙を読む。


