メイがこの言葉を聞いたらどう思うのだろう?
メイにこのことを話す気は全くないが、ミズキはそう考えずにはいられなかった。
「メイちゃん、言ってましたよ。
あなたにもらったオモチャのしゃぼん玉が、最高のプレゼントだったって。
もう失くしちゃったけど、しゃぼん玉にはお母さんとのいい思い出があるんだ、って!
あなたがメイちゃんにしゃぼん玉セットを送ったクリスマスの日、あなたはメイちゃんのしゃぼん玉を褒めたそうですね。
『上手にできたね』って……。
その時も、メイちゃんのことを可愛いと思わなかったんですか!?」
「しゃぼん玉?
んー。そんな物あげたかしら?
あの子が何を言ってたのか知らないけど、私にはそんな記憶ないわ。
その時はたまたま、私の機嫌が良かったんじゃない?」
作り話でも聞かされているかのように、翔子はミズキの話をあからさまに疑っている。
ミズキは絶望した。
つい最近、寝る前にベッドの中でメイが話してくれたクリスマスの思い出が、あっけなく散っていくようで……。
飲み物を一口飲んだ後、翔子は一瞬だけナナセを見、ミズキにこう尋ねた。
「あなた達、大学生だったわよね。
将来の夢ってあるの?」
「あります」
「俺はまだ、ハッキリとは……」
翔子は二人の答えに目を細めた後、ミズキに真剣なまなざしを向けた。
「その夢を本気で目指しているのなら、セックスはしない方がいいわよ」
「え?」
ミズキとナナセの反応が重なる。
ナナセの頬はみるみる熱を帯びていった。


