大成はメイの言葉を予想していた様に、

「僕達はそれを重視していないんだ。と言うのも、変かな。

なんて言ったらいいのか……。

僕達は、君の今までの行動を責める気はないし、君がリョウを追い詰めたとも思っていない。


勝手なことをしてごめんね。

……リョウが君に宛てた手紙を、僕達は君より先に見てしまった。

それを読んでからよけいに、君を放っておけなくなって……。


君が良いと言ってくれたら、すぐにでも君のお母様にこの事を話したいと思う」

「……」


メイは考えた。

この場の全員が、自分を家族としてこの家に迎えたいと思っている。

それは紛れもなく本心だと分かった。

リクの家で感じた不快感を、この家では全く感じなかったから……。


それに、母親がいるあの家を離れたい、あそこから抜け出したい、と、ずっと思っていた。

メイにとっては願ってもいない申し出。


ただ、不安があった。

血のつながった母親とすら対立してばかりだったのに、他人と住んでうまくやっていけるのだろうか。


そんな時、清の言葉がメイの頭を巡る。

『愛してる……』


清は、メイにとって他人だ。

だけど清は、メイを愛していた。

本当の孫のように可愛がっていた。

最期まで、メイのことを心配していた………。


清と交わした約束を胸に、メイは勇気を振り絞って答えた。

「この家に来たい……。

母親から、離れたい……」