お腹だけではない。
メイは、体中の何かが満たされていく感覚を味わった。
菜月は嬉しそうな顔でメイにおかわりをすすめ、同じく大成も、メイに飲み物を差し出したりしている。
今日は清の通夜の日というのもあり、会話はあまり弾まなかったが、それでもメイは「ここにいてもいいんだ」という気がした。
静かで、決して明るくはないのに、優しい時間だった。
メイは、横のミズキと目の前に座る菜月と大成の動きを感じ取りながら、リョウのことを思い出していた。
かつてリョウも、こうしてここに座って家族と食事をしていたのだろうか……。
――…そうして、皆が遅めの昼食を食べ終えると、大成がメイに、真剣なまなざしを向けた。
やはり今も、男性というものが怖くてその目を見られず、メイはうつむいている。
菜月とミズキも、真面目な顔でメイを見ていた。
「メイちゃん。
君の家庭の事情は知ってる。
君がリョウにしてきたことも、
リョウが君を好きだったことも……。
なぜ、リョウが自分の命を断ったのかも……」
そこでいったん言葉を区切り、大成は気持ちを整えるべく咳ばらいをした。
その音が、メイの心をかすかに揺らす。
ミズキと菜月は、口を閉じたままだ。


