清が倒れた日に、ミズキが決意したこと。
それは……。ミズキをはじめ、星崎家の全員にとって大きな選択で、人生の分かれ道でもあった。
清が亡くなるまでの数週間、ミズキは何度も両親と話し合い、その結論を導き出した。
今日は、“それ”をメイ本人に伝える日となった。
ミズキがメイを連れて自宅玄関の扉を開けると、そこにはすでに、ミズキの両親、菜月と大成がいた。
二人はミズキと同じあたたかい雰囲気で、メイを出迎える。
「はじめまして。
ミズキの母です。
メイちゃん、今夜はゆっくりしていってね」
「狭い家ですまないが、ちゃんと部屋は用意させてもらったから」
菜月と大成は緊張しながらも精一杯、メイに声をかけた。
メイはミズキの両親の顔を見てから、横にいるミズキを見る。
この雰囲気に、メイは心底驚き、戸惑った。
“私はマサヤの共犯で……。
リョウをいじめていた女なのに……”
この家族からは、メイを排除したいと願うような空気を一切感じられない。
それどころか、大好きな人との再会を果たしたかのように、愛情に溢れた笑顔をしている。
「じゃあ……泊まってく……」
メイは下を向き、小声で答えた。
「よかった、そう言ってもらえて」
ミズキは嬉しそうに、メイをダイニングに通す。
大成と菜月は食事の支度をし、メイに手料理を振る舞った。
こんなに穏やかな時を不思議に思いつつ、昨夜から何も食べていないことを思い出し、メイは箸を手にする。
空腹がじょじょに満たされていった。


