メイの体にかかるミズキのぬくもりから、それ以外の何かが伝わってくる。
メイは心を無にして、そのあたたかさに身をあずけた。
皆、涙ぐんで二人の姿を見ている。
ミズキならメイの心を救えるかもしれない、と、誰もが思った。
それは、ミズキが臨床心理士を目指しているからではなく、ミズキがミズキだから……。
ミズキは小さく震えるメイを抱きしめ、ひとつの決意をした――。
場の空気が穏やかさを取り戻したその時、
「滝川さん!
お待たせしました!」
清の救命に取り掛かっていた医師が、処置室の奥から姿を現した。
消毒のにおいで充満した空気が、皆の不安を煽(あお)る。
「ばあちゃん、生きてるよね!?」
メグルは真っ先に医師の元に駆け寄った。
医師の表情は曇っていたが、
「はい。清さんの命は無事です。
ただ……。ご家族の方に、お話があります」
「分かりました。
先生、ありがとうございます」
一郎は深々と頭を下げ、メグルの背中を押した。
「メグル、行こう」
「ばあちゃん、病気なの!?
助かったんじゃないの?」
一郎はただ黙って、取り乱したメグルの背中をさすっていた……。
メイはミズキの胸元を離れ、メグルと一郎が診察室に向かう姿を見送った。
「ばあちゃん……」
メイを励ますように、ミズキは彼女の手をにぎった。


