そうして考えた末に出た結論。
自分が家を出ればいい……。
だが、児童養護施設にだけは頼りたくなかった。
「親に捨てられ見放された可哀相な子供」
世間から、そういう目で見られたくなかった。
胃が溶けそうな思いを抱え、翔子に責められながら思い付いたのは、
「警察に捕まること」
メイは、マサヤがリョウを痛ぶったことを知っている。
その証拠をリョウの家族…ミズキに見せれば、メイはマサヤの共犯として警察に捕まると思った。
前科がつくとか、世間から白い目で見られるとか、そういったことは全く頭になかった。
ただ、翔子の元から逃げたくて。
それだけだった。
マサヤが独り占めしているリョウいじめの画像を、ミズキに見せて脅迫でもすれば、ミズキは怒り狂い、メイを警察に突き出すだろう。
警察に捕まった後どんな場所に行くことになるのかは分からなかったが、とりあえず、朝昼晩の食事の心配をせずにすむことは確実で。
理不尽な理由で、翔子に睡眠を妨害されることもないだろう。
そう考えたら、犯罪者としての生活も素晴らしいと思った。
だが、計画通りに事は進まなかった。
ミズキは怒り狂うどころかメイの脅迫に乗り、決して少なくはない金を渡した。
「そんな画像は消して」と、泣いて頼んできただけで、メイを警察に突き出そうとはしなかった。
「どうして……?」
カラカラに渇いたノドを震わせ、メイはミズキに訊(き)いた。


