しゃぼん玉


「信じられない、こんなの……。

こんなの……」

泣いてつぶやくメイの肩を、ミズキは優しく抱きしめた。

「信じてあげて?

じゃないと、空にいるリョウは報われない……」

「……そんなこと言われても……。

こんな手紙があったって無駄じゃん……。

リョウは、もういないじゃん……。

いなきゃ、意味ないじゃん……」


ナナセは、座り込むミズキとメイのそばに寄り添い、

「リョウ君は、マサヤ君に裸の写真を撮られて、それを穂積さんに見せるって脅されたんだ……。

それで……。


好きで死んだんじゃない……。

分かってあげてほしい……」

「星崎……」

メイは、死を選ばざるを得なかったリョウの気持ちを想像した。

裸の画像を盾にマサヤに脅されたリョウ……。

メイには、その気持ちが何となく分かる。


リョウがマサヤ達に暴行を受けていたあの日、

マサヤに呼び出されていたメイは、その場から逃げ出した。

これからマサヤ達がリョウにするであろうことを予感し、恐怖に襲われて……。


性を玩(もてあそ)ばれることの苦痛と怒り、悔しさ。

メイは、身をもってそれを体験している。


リョウがこの世にいないのはやる瀬ないが、自ら死を選んだリョウの気持ちは理解できた。


理由はそれだけではないけれど、

メイも、重たい過去を捨てたくて、リクに頼んで死のうとしていたから……。