しゃぼん玉


真剣なまなざしのまま、メイは先を読む。

《ずっと、俺の片想いだと思ってたから、穂積さんに好きって言われたのが嬉しいのにショックでもあって……。

って、わけわからないよね。

俺も、何て言ったらいいのか分からない……。


付き合うって、もっと大人の人がすることだって思ってて。

それで、どうしていいのか分からなくて、穂積さんに告白された時も上手な返事が出来なくて……。


それ以来、穂積さんは俺を避けるようになって、悪口を言ってくるようになったよね。

俺のせいで傷つけたんだなって、分かった。


でも、それだけじゃないよね?

穂積さんは、何かに怯えてる。

いつも、何かから逃げているみたいに見える。


夏も、暑いのにずっと長袖で、水泳の授業も必ず休んでて……。

そういう事も、ずっと気になっています。


この手紙、途中で破り捨てられているかもしれない。

でも、もし読んでくれていたら、ちゃんと話がしたいです。

穂積さんと、こんな関係のまま卒業したくないから。


穂積さんが抱えてるものを、教えてくれませんか?


付き合うことの意味があまりよく分からないけど、

学校やみんなの前で話しづらいことなら、俺の家に来て下さい。

姉が、料理を作るのが好きなんだ。

三人で一緒に、ケーキとか作りませんか?

ケーキじゃなくて、穂積さんの好きな物でも大丈夫だよ。

いろんなレシピがあるし、もしなくてもパソコンですぐに調べるから。


穂積さんと、仲直りがしたいです。

前みたいに、また一緒にしゃぼん玉とかしたいです。


一方的な内容でごめんなさい。

穂積さんのこと、信じてます。


お返事、待っています。



星崎リョウ》