そこには、メイに対するリョウの想いが込められていた。
《穂積さんへ
いきなりこんな手紙を書いて、負担に感じさせていたらごめんなさい。
穂積さんはケータイを持っていないと言ってたので、手紙を出すことにしました。
どうしても伝えたいことがあったから……。
この間は、告白してくれたのに断ってしまって、傷つけていたのなら本当にごめんなさい。
俺も本当は、穂積さんのこと、ずっと前から好きでした。》
「……え?
そんなはず……」
メイは思わず声を漏らした。
ミズキはメイの肩に手を置き、
「続き、読んであげて?」
みんなの視線は、メイの姿に集中する。
《こんなこと言ったら失礼かもしれないけど、
穂積さんのこと、最初は怖そうな子だなって思ってました。
何を考えてるのか分からなかったし、クラスの子達の集まりに誘っても断られていたから、俺、嫌われてるのかな?って……。
でも、穂積さんと同じ班になってみて、それは誤解だったと思いました。
俺の勘違いかもしれないけど、穂積さんは、調理実習の時すごく楽しそうにしてたよね。
俺が手を動かすところ一生懸命見ててくれたし、おいしそうに食べてくれたよね。
そんな姿を見るのが嬉しくて、かなりはりきってました。
一回だけ、穂積さんが、出来た料理を食べずに実習室からいなくなってしまった時があって、すごく気になりました。
その時、一緒にしゃぼん玉やったよね。
あのあと先生には注意されちゃったけど、授業抜け出して穂積さんとあんな風に遊べて、本当に楽しかったよ。
しゃぼん玉してる穂積さんの横顔がはかなげで……。
あの時、穂積さんは何を考えてたんだろう?とか、
班行動の時、何て話しかけよう?とか、ずっと考えてた。
穂積さんのこと、気がついたら好きになってた。
でも、好きって思うだけで満足してて。
付き合うとか、そんなことまで頭が回らなかったんだ……。》


