しゃぼん玉


ナナセはメイの手をつかんでミズキから離し、

「ミズキちゃんはそんなこと思う子じゃない!」

と、強い口調で言った。

マナとシュンも、ミズキを傷つけそうなメイをにらみつける。

メイはそういった視線にかまうことなく、ナナセの手を振り払うと、再びミズキの両肩に手をやった。

彼女の指先がミズキの肩に食い込み、痛みが走る。

ミズキは歯を食いしばってメイを見つめ返し、

「どうしてそう思うの?」

“穂積さんと、向き合ってみせる……!”


メイは、ミズキの肩をつかんだまま薄笑いをし、

「リョウを失ってつらい思いをしたあんたは、いま、ばあちゃんを失いそうな私を見て、喜んでんだろ?

同じ悲しみを味わえばいいって思ってんだろ?

正直に言えよ」

「そんなこと思ってないよ」

脅迫めいたメイの声音に負けぬほど強い瞳で、ミズキは返す。

それを見て、マナの中には怒りが湧く。

「いい加減にしなよ!」

メイの手をミズキから離させようとしたマナの手を、ミズキが止めた。

「マナ、大丈夫。

ありがとう」

ミズキはマナを安心させるように小さく笑ってみせた。


みんな、何とかしなくてはと感じつつも、二人を見守るしかなくなる……。


メイは、ミズキの肩に置いた指先に力を込めた。

「いいヤツぶってんだな、相変わらず。

……そういうの楽しい?

友達に庇(かば)われ、彼氏に庇われ……。

幸せいっぱいなんだな、あんたは」