しゃぼん玉


ミズキ達は処置室の前に着いた。

薄暗い廊下の隅。

設置された緑色の長イスに、並んで座っているメグル達を見つけた。


「メグルちゃん……!」

ミズキは、メイの肩を抱いているメグルの前に立った。

「みんな、来てくれたんだ」

泣きはらした顔をしたメグルは、みんなの姿を見て、安心したように目を潤ませる。

「こんな時間にわざわざ来てくれて、ありがとなぁ」

一郎は、子供達の優しさに感激している。

一方、メイは、ミズキの姿を見た瞬間メグルの手から離れるように立ち上がり、

「こんなとこまで何しに来たの?」

と、低い声でミズキを見つめた。

うっすら涙がにじむ彼女の弱々しい瞳には、強烈な敵意が浮かんでいた。

それは、他でもない、ミズキに対するもの。

メグルはメイとミズキの間に割り込み、

「メイ。みんな、あたし達のこと心配して来てくれたんだよ?」

「そうだよ、メイ。

大丈夫か?」

リクも、次いでメイに話しかける。


二人を脇に押しやり、メイはミズキの片腕をつかんだ。

「あんた、私のこと笑いに来たの?

ざまあみろって思ってる?」

「そんなこと……!」

心外なことを言われ、ミズキはひるんだ。