しゃぼん玉


メグルの祖母·清が、さきほど、夕食を作っている最中に突然倒れたのだそうだ。

苦しそうなセキをし続けた末に吐血したため、祖父の一郎が救急車を呼んだ。

今、メグルとメイは、搬送先の病院にいるという。


メグルとの電話を終えたリクは、病院に行かせてほしいと義弘に頼んだ。

義弘はかたくなに反対する。

「リク。お前は今、やるべきことがあるだろう。

行っては駄目だ」

メグルはメイの友達。

そういった理由で、義弘はリクの病院行きを反対していた。

そばで二人のやり取りを見ていたナナセも、リクに加勢し、

「お願いします、リク君を行かせてあげて下さい。

次の家庭教師の時間、延ばしてもらってもかまいません。

それに、リク君のことを、必ず志望校に合格させてみせますから……!

お願いします」

「東藤君……」

義弘は驚き入る。

贔屓(ひいき)している教え子が、まさかここまで言ってくるとは思わなくて。


腕組みをしてしばらく考えた後、義弘は威圧感のある声でリクに言った。

「……必ず、N大に合格すると約束しなさい。

それなら、今日のことは大目に見る」

「父さん!

ありがとう!」

リクは父の言葉に目を輝かせ、すぐさま家を飛び出した。

ナナセと共に……。


途中ナナセは、ミズキに電話し、清のことを伝えた。

ミズキを通して、マナとシュンにもその話は届く。