「……父さん達が言ってることも、当たってるんだ……」
「当たってるの?」
リクは、さきほど正美が持ってきた紅茶入りのティーカップの取っ手をつまんで中身を揺らした。
「メイのこと考えてると、学校でテスト受けてんのとか、どうでも良くなって……。
メイは今も寂しい思いしてんだろうな、とか、腹空かせてないかな、とか、そういうの考えてたら、気がつくとテストの時間終わってて……」
「うん」
ナナセも、リクの手先にあるティーカップを見た。
「学校行ってるより、メイのためになることしてた方が充実してるっていうか」
リクはバイトの楽しさを語った。
その後、また顔を曇らせ、
「けど、それだけじゃダメなんだなって分かって……。
メイに迷惑かけたくないから、勉強とバイト両立しなきゃ、って……」
「そう……」
リクは、おとなしく話を聞いているナナセに目を向け、
「……父さんは、ナナセ君みたいな子供が欲しかったのかもね」
「……え?」
思いもよらぬ事を言われ、ナナセはポカンとする。
「父さんも母さんも、そう……。
俺みたいに反抗ばっかりする息子じゃなくて、ナナセ君みたいに礼儀正しくて成績もいい優秀な息子が欲しかったんじゃないかな……。
もし俺がそういう息子だったら、メイのことあそこまで悪く言われなかったと思うし」
リクは悲しげに笑う。
ナナセは、リクにかける言葉が見つからなかったが、しばらく考えた後、
「そんなこと、ないんじゃない?」


