しゃぼん玉


「メグルんち来れてよかった。

これでしばらく、うるさい母親にウザいこと言われずに済むし」

まるで他人事のようにそう話すメイ。

メグルは真面目な顔でメイを見つめ、

「メイは何も悪くないじゃん……。

父親が悪いんじゃん。つーか、母親なら普通、そういう時メイをかばうじゃん!

なのに、何でメイが責めらんなきゃなんないの!?

おかしいよ、わけわかんない!」

興奮したメグルは、メイの体を思いきり抱きしめた。

細くて折れてしまいそうな背中に、サラサラの長い髪がかかる。


取り乱したメグルとは対照的に、メイは静かなままだった。


「しょうがないよ。

母親はああいう人なんだよ。

私を妊娠したせいで女優になる夢捨てたから、そのことも恨んでんだよ。

私はそんな母親から、唯一の旦那まで奪っちゃったわけだしね」

穏やかにそう言えたのは、メグルの腕の中でとても安心できたから……。

ずっと求めていた母親のぬくもりとは、きっとこのようなものなのだろう、と、想像できる。


メイの綺麗な髪の感触を手のひらに感じ、メグルはメイの頭をなで続ける。

「メイは悪くないったら悪くない!!

ウチで良かったら、ずっといていいからね!

ううん、やっぱり一生いて!


こんなこと知ったら、ますます帰らせらんない!」

「うん……」

メイはメグルの肩に頭を預け、そっと目を閉じた。