清が出て行った後、メイはメグルのベッドにゴロンと仰向けに寝転んだ。
木製の茶色い天井。
ガラスで出来た丸い傘を被った蛍光灯。
メイの目に映るのは、平穏な家庭の色。
清が作っている夕食の匂いが、扉の隙間をくぐってここまで漂ってきた。
“なんか、安らぐなぁ……”
自分の家にいた時とは比べものにならないくらい、つらくない時間が流れている。
こんな風に部屋でごろ寝なんて、自分の家では出来なかったから……。
メイは、リクが殴った相手は宇都宮だろうと察した。
それ以外にあるとしたら、翔子の恋人である、卑猥(ひわい)な顔つきの男。
“あの男が、ババアに宇都宮を紹介したんだもんな”
そう思い、ここ最近のメイは毎日ずっとイライラしていた。
清に気持ちをぶつけているおかげで、死にたいという気持ちはおさまりつつあるが、逆に、翔子とその恋人、そして宇都宮のことを殺したい衝動に駆(か)られていた。
なぜ、大人達の利益や欲望のために、自分がこんなに追い詰められなくてはならないのか。
そう考え、吐いた夜もある。
けれど、リクが宇都宮にケンカを仕掛けたと聞いてから、メイの憤慨(ふんがい)もやや落ち着いた。
“リクのやつ……。
一体何のつもり……?”
リクに反発心を覚えながらも、メイの心は軽くなっていた。


