しゃぼん玉


やはり、ケンカしていたのはリクと宇都宮誠二の二人だった。

弁護士のフリをして、メイに近付いた男……。


「リク、やめろ!」

リクは全く周りが見えていないようで、シュンの声も届かない。

彼は、ただひたすら、宇都宮に殴りかかっていた。

宇都宮はそれをかわすだけで、リクに殴り返そうとはしていない。


「逃げんなよ!

メイに謝れ!!」

リクは怒りで歪んだ顔のまま、宇都宮に怒鳴っていた。

宇都宮がシュンの存在に気付いた瞬間、リクの拳が宇都宮の頬に当たる。

鈍い音と共に、宇都宮はその場でよろけた。


「リク……!」

宇都宮を殴って静止しているリクの腕を引っぱり、シュンは人だかりの中から抜け出した。


ケンカが終わったことで、やじ馬も散り散りになる。


宇都宮を殴ってからおとなしくなったリクの肩を、シュンはそっとさすった。

「ケンカなんて、お前らしくないじゃん。

何があった?」

「何もないけど……。

バイト帰りにたまたま宇都宮さんを見かけて……。

許せなかった……。

メイを傷つけたくせに、のうのうとしてて……」

リクの両腕は震えていた。