「ナナセ君に対して、いまだに汚い感情を見せるのが怖くて……。
あの日…宇野君ちに行った時も、八つ当たりしちゃいそうで、無意識のうちにナナセ君を避けてた。
嫌われたくなくて……」
ミズキは、宇野マサヤに会いに行った日のことを話した。
その後偶然、ヒデトとユウに会った事も、全て。
マナの電話を受けてから急いで家に帰り、ナナセに連絡をしたこと。
それは、つい一週間ほど前のことなのに、会っていなかった時間が二人にとっては長すぎて、互いに、だいぶ前の出来事に感じていた。
ナナセはミズキの話に納得した後、
「ミズキちゃんも、悩んでくれてたんだね。
俺、ミズキちゃんを探しに駅に行った時、ミズキちゃんが知らない人といるのを見かけて……。
それから胸が苦しくて……モヤモヤして……。
ミズキちゃんが他の人と楽しそうに笑ってるの見て、嫌な気持ちになって。
ミズキちゃんのこと信じてるのに、怖くて素直になれなかったんだ……」
そう言ってナナセは困ったように笑った。
「でも、もう大丈夫。
もう、俺は、ミズキちゃんのこと……」
ナナセはその後に続く言葉を口に出来ず、赤くなってうつむいてしまった。
「その続き、聞かせて……?」
ミズキはわざと意地悪な口調でナナセの顔を覗き込んだ。
ナナセの間近に、ミズキの澄んだ瞳。
陶器のような桃色の頬。
艶やかな唇。
ナナセは緊張して全身をこわばらせてしまう。


