ヒデトと別れた後、ナナセからの電話を受け、それから20分ほどが経った。
玄関先でたたずむミズキは、夜の雲間から漏れる月光を見るともなしに見上げた。
ナナセに会ったら、話したいことがたくさんある。
“ナナセ君。私ね、お母さん達に全てを話したんだよ。
リョウのことはもう、私一人の考え事じゃなく、家族みんなの問題になったよ”
「ミズキちゃん……!」
静かな住宅街に、少し大きめのナナセの声が響く。
「ナナセ君……!
その頬、どうしたの?」
久しぶりに会う喜びも湧いたが、ナナセの左頬がうっすら赤くなっていたため、ミズキはまずそこを心配せずにはいられなかった。
思わずそこに、指先を延ばす。
久しぶりに見るミズキの顔と、頬に触れる彼女の指先のぬくもりに、ナナセは胸をドキドキさせる。
「何でもないよ」
「そう……」
ミズキはそっと指を引っ込めてうつむくと、ナナセに抱き着いた。
「会いたかったよ……。
ずっと、ナナセ君に会いたかった……。
良かった、また、会えて……」
「ごめんね……」
「ナナセ君は、悪くないよ……」
「ううん、そんなことないよ。
ごめんね、ずっと連絡できなくて……」
ナナセの胸元に埋(うず)まったミズキの顔は見えないが、彼女は涙声をしている。
胸の高鳴りとミズキの体温を感じ、ナナセもそっと彼女を抱きしめ返した。


