シュンとマナは、ナナセが通うジムの前までやって来た。
ジム会員でない二人は、外で待つことしかできない。
ビルの合間を吹き抜ける夜風は、激しい音を立てている。
途中シュンは、寒さで身を縮ませるマナの体を抱きしめた。
いつもなら恥ずかしくてそんなシュンに蹴りを入れるマナも、シュンの腕にこもった緊張を感じ取り、何も出来なかった。
10分ほど経っただろうか。
「きたよ……!」
マナはシュンの腕をすり抜け、アイリと共に出入口から出てきたナナセに視線を向けた。
ナナセは驚いた顔をし、マナ達が何の用でここに来たのかを察しているように苦笑する。
自動ドアが閉まるのと同時に、
「ごめん。これからリク君ちに行かなきゃいけないんだ……。
今日から家庭教師始まるから」
ナナセはマナとシュンから逃げるようにその場を後にした。
アイリは困った顔でマナ達の方に振り返りつつも、ナナセについていく。
シュンはナナセの背中に向けて叫んだ。
「ああそうかよ……。
ならもう知らねぇ!
ミズキが他の男と付き合ってから後悔したって、遅いんだからな!」
ナナセの背中はピクリと動き、その足も止まる。
「ミズキのこと守りたいなんて言って、お前の根性はそんなモンだったんだな。
ガッカリだぜ。お前はもっと話のわかるヤツだと思ってたのに」
「……シュン」
ナナセは顔だけでシュンを振り返る。
マナとアイリは、息をのんでシュンの言葉を聞いていた。


