しゃぼん玉


ミズキは足を止め、その人物を見つめた。

「ヒデト……!」

そこには、ミズキの元カレ·ヒデトの姿が。

ヒデトは寒さをこらえるように両腕をかたく組み、穏やかな顔でミズキを見ている。

「宮原君……!」

マナも驚き、ミズキとヒデトの姿を交互に見た。

「ミズキちゃんが、前に付き合ってた人だよ。

宮原君は、私達と同じ高校だったの」

マナは、ヒデトと面識のないシュンに、小声でそう説明する。

「久しぶりだね、高山さん。

高山さんの彼氏もはじめましてっ」

ヒデトはマナとシュンにフレンドリーな挨拶をする。

シュンは戸惑うように「おう」と返し、マナも引きつった笑みを浮かべる。


「ヒデト……。

こんなところで、どうしたの?」

ミズキは思わぬ元カレの出現に声を裏返し、ヒデトに近付いた。

「うん……。この間、ミズキの様子変だったし。

なんか心配になってさ。

ごめん、こんなとこまで来て……」

ヒデトは申し訳なさそうにうつむいた。

ミズキの胸は複雑に揺れる。

ナナセとこんな状態の時に、他の異性に優しい言葉をかけられたら、その気がなくても寄りかかりたくなってしまう。

甘えてしまいそうになる。

“だめ、しっかりしなきゃ……!

私は今、ナナセ君の彼女なんだよ!!”

ミズキは自分にそう言い聞かせた。