そんなナナセのセリフとアイリの思考が混ざり合い、アイリの気持ちは変な方向に走ってしまう。
“ナナセ君は、どんな風にミズキちゃんを抱くんだろう……”
ナナセの体型は、マサヤのそれにとても良く似ていた。
無意識のうちに、アイリは二人を重ねてしまう。
“でも、ナナセ君は乱暴な抱き方しなさそう……”
マサヤとの交際中、アイリは彼の性欲を発散させるためだけに抱かれていたような感じだった。
抱かれた後も、優しいことの一つも言ってもらえず、『もう用無し』といった感じで、サッサと背中を向けられていた……。
今となっては、理解に苦しむ。
なぜマサヤと付き合っていたのか。
なぜあんなに彼に尽くせていたのか。
“ナナセ君なら……”
アイリはそっとナナセの横に座った。
勇気を出して、距離をつめる。
「……!」
アイリに近付かれ、ナナセは勢い良くベンチから立ち上がる。
ナナセに避けられた。
アイリは胸の痛みを隠し、
「……もうちょっと泳ごっかな!」
と、笑ってみせた。
アイリらしくない振る舞いに、ナナセは内心首を傾げる。


