「なんてね」
ナナセははにかみ、勢い良く水の中に飛び入んだ。
本当は、ミズキと一緒にいたい。
ジムも、ミズキと共に通いたかった。
でも、こんな臆病な自分には無理かもしれない。
ミズキの異性関係に嫉妬してしまって、どうしようもない自分……。
生まれては育ち続ける自分の中の嫌な感情から目を背けるように、ナナセは水をかきわけた。
泳いで泳いで、一心不乱に泳ぎ続ける。
アイリはその後をついていった。
50メートルを泳ぎ切った後、ナナセはプールサイド目指して勢い良くプールから上がった。
「ナナセ君、泳ぐのめっちゃ上手だね」
ナナセの綺麗な水泳姿に見とれていたアイリは、ほとんど泳げず水中を歩いていただけだった。
プールサイドのベンチに座ったナナセの髪から、水が勢い良くしたたり落ちている。
その様子を見て、アイリの心臓はさらに高鳴った。
プールから出たばかりで小刻みに揺れる鼓動が、さらに大きくなる。
ナナセの首筋から腰にかけて、いくつもの水滴が落ちていく。
水が撫でるナナセの肌は艶っぽく光っていて、ジム通いで鍛え上げられた筋肉がそれをさらに際立たせていた。
細身で長身な、締(し)まった体。
ナナセはアイリの視線に気付かず、
「久しぶりに泳いだかも。
気持ち良かった」
と、アイリに笑いかけた。


