しゃぼん玉



放課後。

行く先のアテもなく、ナナセは習慣となりつつあるジムに向かった。


シュンに、ミズキと話し合うように言われたが、何をどう話し合えばいいのか、分からない。

ミズキに会っても、嫌なことを言ってしまいそうで怖かった。


今日の夜から、ナナセはリクの家庭教師のため、松本家に行くことになっている。

その前に気分を落ち着けておかないと、リクに迷惑をかけてしまいそうだ。

久しぶりに、気分転換のため水泳でもしようと、温水プールに向かう。

水に触れていた方が、気持ちもスッキリする気がして……。


滅多に使わない水泳用男子更衣室に入り、水着に着替え、プールサイドに向かう。

やけに人が少ない。

広すぎるプールを自由に使えることに何となく遠慮していると、先にプールに来ていたアイリと鉢合わせた。

ヒザ下だけ水につける形で、アイリはプール脇に座っている。

ナナセの姿を見つけたアイリは、赤くなった顔をなんとかするため、体をザブンと水中に沈めた。

太っている体をナナセに見られたくなかったし、まさか、ナナセがここに来るとは思っていなかったから……。

“ナナセ君は女の子の体ジロジロ見るような人じゃないとは思うけど……”

ナナセはアイリのそばに行き、さきほどまでのアイリと同じように、ヒザ下だけ水に浸かる形でプール脇に座った。

「アイリちゃんがここにいるの、珍しいね」