清は、久しぶりに学校に通うメイの背中と、朝から元気のいい孫のメグルを送り出してから、洗濯の続きをする。
数年前に購入した全自動式洗濯機の動きが止まるのを確認し、中からしめった衣服を取り出しカゴに入れる。
ずっしり重たいカゴを両手で抱え、物干し竿が設置してある裏庭へ向かった。
枯れ葉が舞うほど風が強い日だったが、柔らかい太陽の日差しが庭中にまんべんなく降り注いでいるから、寒さも軽減した。
“メイちゃんが元気になって、本当によかった……”
メイの精神状態は分からない。
でも、あの日以来、メイが死にたいと訴えることはなくなった。
そんなことを考えつつメイの服をハンガーに通していると、器官を強く刺激するような苦しいセキが出る。
庭にある松の木の幹に藁(わら)を巻いていた一郎が、慌てて清の元にやってきた。
「大丈夫か?
……やっぱり、病院に行った方がいいんじゃないか?」
「そんな必要ないわよ。
もう、どうせ助かる見込みはないんですもの。
そうやって無駄な時間を過ごすくらいなら、一秒でも長く、あなたやメグル、メイちゃんの傍にいたいわ」
「そうか……」
痩せ細った清の手首を見て、一郎は口をつぐむしかなかった。


