“ミズキちゃんは、浮気するような子じゃない……”
分かっているのに、ミズキが他の少年達と一緒にいる姿を見てから、ナナセのモヤモヤは消えない。
こんな想いを抱くのは初めてだった。
ミズキのことが心底好きで、彼女を助けたかったはずなのに、ミズキが他の異性と一緒にいるのを見てから胸が苦しくてしょうがない。
悔しさや悲しさ。
もどかしさ。
やるせなさ。
マイナスの感情ばかりが込み上げて、何も手につかない……。
来週からはリクの家庭教師をしなければならないのに、そのための予習も、する気になれない。
“ミズキちゃん……”
ミズキに「会いたくない」と告げた瞬間、自分の中の不安が増幅したような、減ったような、矛盾した気持ちになった。
“俺、何してるんだろ……”
気分を変えるために両手で頭をクシャクシャにし、本棚から高校の時に通っていた塾の参考書を取り出す。
“リク君の受験の役に立たなきゃ……”
そう思い机に向かって参考書を開いても、浮かんでくるのはミズキの顔ばかりだった。


