誰かが幸せになると、
誰かが不幸せになる。
誰かが恵みを受けるその陰で、
涙を流す人がいる……。
ミズキはそれを痛感した。
誰も悪くないのに、必ず誰かが苦しむ。
恋は、そんな図式で成り立っている……。
うつむいたまま隣を歩くミズキに、ユウは言った。
「でも、大丈夫。
まだ高山さんのこと好きなんだけど、ちゃんと割り切ってるし。
シュン君なら、高山さんを手放さないって信じてるから」
「……」
吹っ切れたようなユウの声。
「まだ、誰かと付き合うのは考えられないけど……。
ヒデトに心配かける回数減らさないと、とは思ってる。
高山さんのこと、いい思い出にできるように、ね」
ユウの凛とした表情を見て、ミズキは少しホッとする。
“今すぐは無理でも、時間が経てばきっと、水谷君も幸せになれる時が来るよね……?”
ユウはクスッと口元だけで笑み、
「星崎さん、何かあった?
さっきからずっとため息ばかりついてる」
「えっ……」
ミズキにはそういった自覚がない。
普通にしているつもりだった……。


