ヒデトに見送られて、ユウとミズキは帰路についた。
もうすっかり日も沈み、街を行き交う人々の数も極めて少ない。
カラオケ店からだいぶ離れた街灯の少ない細い路地で、ユウは足を止め、
「まさかヒデトがあんなこと考えてるなんてな」
と、今日ヒデトが自分を誘ってきた目的を見透かしているように、笑う。
「ヒデト、水谷君のこと心配してた……」
ミズキはそれしか言えない。
ユウは再び足を前に進ませ、
「うん、知ってる」
「……」
ミズキは黙ったままユウの横顔を見つめた。
その顔は、高校生の頃マナに片思いしていた時と同じ、切なげな色がにじんでいる。
ユウは、ミズキにマナへの気持ちを読まれているのを感じ取り、
「未練たらしいな、俺。
卒業してからもう、半年以上も経ってるのにね」
そうつぶやき、自分の弱さを隠すように無理矢理笑ってみせた。
「……水谷君」
ミズキの頭には、シュンと幸せそうにしているマナの顔が浮かんだ。
でも、一時はヒデトの彼女としてユウとも仲良くしていたから、複雑な情が湧き、目の前でつらさをこらえているユウに胸が痛んだ。


