マナとの電話を終えたミズキは、荒い手つきでカバンをあさり財布を取り出した。
壁にもたれてミズキの電話が終わるのを待っていたヒデトに、千円札を数枚渡す。
「ヒデト、せっかく誘ってくれたのに、ごめんね。
もう、帰る」
「え?」
「ごめんね……!」
ヒデトは、早歩きでこの場を離れるミズキを引き止めた。
「待てよ!
もう暗いし、送ってく!」
ミズキはゆっくり彼を振り向き、
「大丈夫。
それにヒデト、水谷君を一人にしておけないでしょ?
みんなもまだ盛り上がってるし」
ヒデトは困ったように言葉をつまらせる。
微妙な沈黙の中、どこかの部屋の扉がカチャリと開く音がした。
ミズキ達のいた大部屋から、ユウが一人で出てきた。
ヒデトとミズキを見るとユウは苦笑し、
「ヒデトの企みだったんだな」
と、女子達の質問攻めにぐったりした表情を見せた。
ヒデトはとっさに、
「ユウ! 頼む、ミズキのこと送ってやってくんない?
今日はそのまま帰っていいから!
あいつらにはちゃんと説明しとくし」
「うん。よく分かんないけど、分かった」
急な頼み事をされユウは最初首を傾げていたが、この場から逃れられることに安心したかのように、肩で大きく息を吐いた。


