アイリは言った。
「今まで、いろんなことでナナセ君に頼りっぱなしだったから……」
“さっきも、ナナセ君が一生懸命マサヤに話しかけてるところを見て、すごく頼もしいなって思ったんだよ”
「私も、ナナセ君のためになることがしたい」
一瞬、沈黙が訪れる。
ナナセは少し考えてから、
「ありがとう。
悪いけど、それじゃあ、お願い……。
ミズキちゃんもきっとアイリちゃんのこと心配してると思うし、アイリちゃんが探しに来てくれてるって知ったら喜ぶと思うから」
その言葉を聞いて打ちのめされたアイリは、ナナセと一緒にミズキを探すと申し出たことを心底後悔した。
本命の恋人がいる人に下心を持ってしまった罰だとしか思えなくて……。
その後ナナセは、アイリと共に、まだ探していない駅の構内まで早足に向かった。
どんな人混みの中でも絶対見つけ出せる、大好きな人……。
ミズキは、ナナセが知らない少年二人と楽しげに会話しながら改札に向っている。
ナナセは、ミズキを呼びとめる声すら出せなかった。


