穏やかだった空気は一転した。
アイリは涙を流す。
「ちょっと前だったら、そう言ってもらえて喜んでたかもしれない……。
ずっと、マサヤに気付いてほしいと思ってたから。
私が今まで、マサヤの言葉でたくさん傷ついてたってこと……。
だから、マサヤがそう言ってくれて嬉しいはずなのに、私、ちっとも嬉しくなくて……。今は、ただ、悲しい……。
もう、マサヤとは一緒にいられない。
別れよう。マサヤ」
「お前っ……」
アイリはこの時、マサヤがうろたえる様を初めて目にした。
マサヤにもこんな所があったなんて。
もっと早く知っていたら愛しく思えただろうに、今はただ悲しいだけ……。
「もう、マサヤのこと好きじゃない……。
マサヤがミズキちゃんの弟を殴ってる動画見た時、気持ちが冷えた……。
私はマサヤの彼女なんだから、マサヤの立場とか気持ちとか、そうなった理由とか、理解しなきゃいけない!って、何度も自分に言い聞かせたけど……。
……無理だった」
「わかった! 星崎に謝るから!」
「そんな気持ちで謝ってもダメだよ!
ミズキちゃんは見抜くよ!
それに、それだけじゃない……。
最近ずっと、マサヤに会ってても違和感があったの」
「……ナナセのこと好きになった、とか?」
尋ねるマサヤの声は、今までの中で一番低かった。


