本当なら、ミズキは今頃ナナセと一緒にいるはずで……。
自宅にナナセを招いて、一緒に夕食を作るつもりだった。
でも、ナナセにうまく甘えることができなくて、また、自分の殻に閉じ込もってしまった。
“ナナセ君、まだマナ達と一緒にいるのかな……”
ナナセやマナ達のことを考えてしまい、苦い気持ちが大波のように襲ってくる。
その大きさに打ち砕かれ、ミズキはめまいがしそうだった。
宇野家を飛び出した後、ナナセから何度か電話がかかってきていたが、ミズキはそれを取らなかった。
取ることができなかった。
“ヒデトと付き合ってた頃のように、ナナセ君にまで嫌なことを言ってしまうかもしれない……”
ミズキは怒りと憎しみに心を染められ、冷静な自分を見失っていた。
マサヤに怒りを覚えた瞬間、初めてあんなに強く、人を殺したいと思った。
宇野マサヤへのこの感情は、きっと一生消えない。
ミズキは完全に自信を失っていた。
臨床心理士になる自信。
ナナセと幸せになる自信……。
メイを救い出す自信……。
“考えるのやめよ……”
頭がパンクしそうになったので、ミズキは一切の思考を停止した。
考えても考えても、良い気持ちにはなれないから。


