ミズキは今、駅の構内にいた。
「ミズキ、お待たせ。これ」
そう言い、近くの売店で買った缶コーヒーをミズキに渡したのは宮原ヒデトだった。
「ありがとう……」
ヒデトから受け取った缶コーヒーで暖を取っていると、それが冷えきった心身にまで行き渡るようだった。
人の流れが来ない通路脇に移動した二人は、白い壁にもたれて行き交う人々の動きを見ていた。
ヒデトは今日、高校時代からの男友達·水谷ユウと会う約束がありこの駅に向かっていたのだが、途中、街路樹の下で、抜け殻のように立ち尽くすミズキを見つけ、彼女に声をかけたのだった。
ヒデトは、うつむくミズキの横顔をチラチラ見ながら落ち着かない動きをしている。
「少しはあったまった?」
「うん。ありがとう……」
「ミズキ……。
今日、一人なの?」
「……」
ミズキはヒデトの問いに即答できなかった。


