アケミはマナをソファーに座らせてから自分も座り、マナの肩にふんわり片手を置いた。
「私で良ければ、聞くよ。
無理にとは言わないけど……」
「ありがとう、アケミちゃん」
マナはしばらく頭の中で整理をした。
アケミにこうして気にかけてもらえることは嬉しい。
アケミとマナは、《お互いの親が仕事の付き合いをしている》という関係以上の絆を築いているし、今のアケミは、マナのことを一番大切な女友達だと思っていた。
マナも、そんなアケミの気持ちをひしひし感じている。
でも、ミズキやアイリのプライバシーに関わることを、部外者のアケミに話すのはいけないと思った。
複雑な考え事が苦手なマナだったが、ミズキのことを思えばそれも苦ではない。
座っている自分の足のつま先を見ながらしばらく考え、マナは口を開いた。
「あの……。詳しいことは言えないんだけど……。
もしもの話と思って聞いてくれる?」
「うん、わかった」
アケミはマナの瞳をまっすぐ見つめた。
「罪を犯した人の名前をMとして……。
Mに危害を加えられた被害者をHとするね。
HはMを、警察に突き出すべきだと思う?
私はそうするべきだと思うんだけど、HはMの親の気持ちを考えて、Mのことを警察に突き出さないかもしれない。
どっちが正しいことなのか、私にも分からなくて……」


