「ナナセ君、変わったよね。
前はあんな風に、自分から進んで何かをしたいって言い出す人じゃなかったのに」
「ミズキのおかげだな」
二人は、ナナセにならミズキのことを任せられると思った。
日に日に頼もしくなっていくナナセは、本当に生き生きしている。
二人が高山家の玄関先にたどり着くと、そこには久しぶりに会う知人の姿があり、かなり驚いた。
「アケミちゃん!!」
「アケミ、何してんの?」
「マナちゃん! シュン!
ちょうど良かった!」
香山アケミ(かやま·あけみ)はマナ達と同い年だが、大学は違う。
彼女はシュンの高校の時からの知り合いであり、去年経営危機に陥(おちい)ったマナの両親の会社を助けてくれた、香山(かやま)産業の社長の娘である。
アケミは、相変わらず仲の良いシュンとマナに羨望のまなざしを向けながらも、裏のない柔らかい口調で、
「マナちゃん。これ、おじさんに渡しておいてくれる?」
「うん、わかった」
アケミは時々、こうして仕事に関する書類をマナの父親に届けるため、高山家にやってくる。
今では何のわだかまりもなく仲良くしている三人だが、去年の今頃はアケミを中心に、様々ないざこざがあった。
そのためシュンは、内心アケミに距離を置いているが、マナは根に持つ方ではなく、元々女の子には甘い性格ということもあり、アケミとはつかず離れずの友達付き合いをしていた。


