シュンはしぶしぶマサヤを解放し、
「逃げても無駄だからな。
もし妙な真似したら、知り合いの探偵に頼んで、徹底的にお前のこと探してもらうから」
「黒崎さんだね」
と、マナは小さく微笑む。
黒崎氏は、その業界でも腕利きと高名な探偵で、10年前に生き別れたマナの旧友を探してくれた人でもあるのだ。
黒崎氏とマナ達はその後も時々連絡を取り合っており、会えることは滅多にないが、一緒にご飯を食べたこともある。
「いこ、ナナセ」
シュンはマナの手を取ると、それとは反対の手でナナセの肩をポンッと軽く叩き、硬直していたナナセの体を押して部屋を出ようとした。
マサヤは舌打ちをし、しかめっ面でのっそり床から起き上がると、アイリと二人きりになった空間にため息をつき、ドカッとソファーに寝転んだ。
アイリは、マサヤの様子よりも部屋を出ていくナナセの背中に目がいってしまっていた。


