ミズキが出て行った後。
宇野家では、しばらくの間、皆が固まったように動けなくなっていた。
ナナセは、ミズキに距離を置かれたような気がして冷静ではいられず、泣きそうな気持ちになっていた。
「ナナセ……」
シュンはマサヤを床に押さえつけた体勢のまま、ナナセを見た。
ナナセは溢れそうになる不安や悲しみを抑えるために両手に力を入れ、
「悔しいな……。俺、肝心な時に何もできない……」
と、うつむく。
その声は、さきほどマサヤに話しかけていた時のようなハリがない。
マナとアイリも何も言えず、シュンまでもが口をつぐんだ。
皆、ミズキを助けたい、何かをしてあげたい、そういう気持ちだ。
でも、いざこうなってみると、身内を亡くした人の悲しみには終わりがないのだと思い知り、ただ、見ていることしかできない。
マナは、ミズキと友達になった高校三年の終わり頃にリョウの存在を知った。
ミズキとは長い付き合いではないが、浅い関係ではないと思っている。
マナは誰に言うでもなく、こう言った。
「ミズキちゃんね、リョウ君の話する時いつも楽しそうで……。
そういうの分かるんだ、私」


