しゃぼん玉


じょじょに冷たくなる風が、ミズキの頬にあたる。

行き交う人の数が増える。

人々の肩や荷物が、立ち止まったままのミズキの体にぶつかった。

前から、後ろから、どんどん人がぶつかってきて、中には「邪魔だな、何してんだよ」と、刺々しい言葉を投げつけてくる者もいた。

“邪魔”

マサヤがリョウに対して言った言葉――。

“邪魔って、なに……?

リョウは、そんな理由で殺されたの?”

ミズキの耳は重たくて、何も聞こえてこなかった。


クリスマスシーズンということで街の至る所に設置されている赤や緑の電飾も、白っぽい雲を浮かせた空も、何もかもが目に入らない。


“亡くなった人の事をいつまでも忘れられない私は、弱い人間です。

幸せになるためには強さも必要だと思いますが、私には、リョウのことを忘れる自信がありません――――”


「……キ!

ミズキ! ミズキ!」

棒のように立ち尽くすミズキの両肩を、激しく揺さぶる者がいた。