ナナセはミズキの過去を受け止めてくれた。
ミズキの同級生に話したら引かれたようなことを言っても、彼はミズキを優しく包み、彼女を癒そうとしてくれた。
自己主張が苦手と言っていたナナセが、今日はマサヤに一生懸命話をしていた。
ミズキの気持ちを第一に考え、動いてくれた。
“それなのに、それなのに、実際私は……”
マサヤへの怒りや恨みで心を侵(おか)され、
ナナセの呼びかけを無視し、
マナとシュンの心配そうな瞳にも目を向けず、
アイリの話に腹を立ててしまい、
こうして逃げ出してきてしまった。
つらいことや痛いこと。
リョウのこと。
両親がどれだけミズキを大切に思っているのか。
そういったものを忘れてはいけないと思っていたし、忘れたくなかった。
常に考えていたかった。
穂積メイの問題にも、真剣に向き合いたいと思った。
彼女を助けたいと思った。
メイの幸せな顔が見れたら嬉しいのに、と、願った。
それなのに、ミズキは今、何も考えたくなかった。


