しゃぼん玉


「待って……!

警察だけは……!」

長い間、扉の向こうで立ち聞きしていたアイリが、マサヤの携帯電話を片手に室内に飛び込んできた。

皆、弾かれるようにそちらを見やる。


「ここへ来る途中、マサヤのお母さんから電話がきたの……!」

アイリは言った。

彼女は以前、マサヤの母親と電話番号の交換をしていたのだ。

「マサヤのお母さんね、『私達が仕事でかまってあげられない分、アイリちゃんにマサヤのことお願いしたい』って……。

そんな大事なことを頼まれたって、私にはどこまでできるか分からないし、自信もないけど……!


マサヤの親は、マサヤを信じてる。

マサヤがいい子で留守番してるって思って、安心してる。


だから……。警察だけは……!

マサヤの親が悲しむから……」


親が悲しむ――。

それはミズキの弱点を突く言葉だった。


親身に協力してくれている大切な親友·マナが、マサヤの警察行きを勧めている。

ミズキ自身も、マサヤに対し許せない思いと怒りがある。

きっと一生、この悔しさは忘れないだろうというほどに。

だが、マサヤの家族を悲しませてまで、そういった自分の意思を貫いてもいいのだろうか……?


マサヤの親には何の罪もない――。


自分の両親とマサヤの両親を重ね、ミズキの中に迷いが生まれた。