アイリの胸は、波紋(はもん)のように揺れていた。
ジムにいた時から気付かないようにしていた気持ちが、今、ハッキリとして……。
ナナセの一言一言に、彼女の神経は研ぎ澄まされていた。
ナナセは切に訴えた。
「マサヤ君、お願い。
リョウ君を亡くしたミズキちゃんの気持ちを、想像してみてほしい……。
ミズキちゃんとリョウ君は、一歳違いの姉弟で、友達のように仲が良かったんだ。
マサヤ君もマサヤ君なりに、穂積さんのためを思ってリョウ君の相手をしたのかもしれない。
ただ、それでリョウ君を傷つけてしまったことがダメだったんだよ。
それにリョウ君は、好きで穂積さんの告白を断ったんじゃないんだよ……」
ミズキはやっとの思いで口を開き、
「ありがとう、ナナセ君……。
私がしっかりしなきゃいけないのに……」
「でも……。無理しないで、ミズキちゃん」
「大丈夫だよ……。ありがとう」
ミズキはナナセの腕につかまり、真っ赤に腫れた瞳でマサヤを見た。
「宇野君。
ナナセ君ね、普段はこういう風に、人に意見を言う人じゃないの」
“私のために、ナナセ君は力をかしてくれた……!”


