「今は、ひとりっ子でも良かったって思ってるけど、子供の時は寂しかった。
友達には兄弟がいるのに、俺にはいなかったから。
夏休みとか、友達が兄弟達と仲良く旅行や海水浴に出かけてる時、俺は家に一人だった。
親も忙しい人だから、外に遊びに行く時は親戚の人と一緒でね。
親とどこかに行った記憶は、あまりないんだ。
マサヤ君も、そうだったんだよね」
「……」
イタズラが見つかって叱られている子供のように、マサヤはふて腐れた顔をしている。
「アイリちゃんね、そんなマサヤ君をいつも心配してた。
『本当は優しい人なのに、その表し方が分からないんだ』って……。
俺も、弟がいる感覚は分からないし、想像することしかできない。
マサヤ君がずっと寂しかったっていう気持ち、よく分かるよ。でも……」


