しゃぼん玉


「黙ってないで、何か言ったら?」

霧のような沈黙を切り裂く様にそう言ったのは、マナだった。

マナは今すぐマサヤに殴りかかりたいのを我慢しているような瞳で、彼を見ている。

優勢を保っていた強気のマサヤも、かすかに怯(ひる)んでいた。

最近のマサヤは、アイリや浮気相手の女といった、マサヤのに言いなりになるタイプの女性ばかりと接していたから、マナの態度にひどく衝撃を受けていたのだ。

シュンも、マナの言葉に加勢するかのうに強い態度に出た。

「ずっと黙ってるつもり?

そんなんだと、俺らずっとここに居座るから」

マサヤは悔しそうに唇を引き結んでいる。

シュンの言葉は、皆の気持ちだった。

マサヤが口を開くまでは、ここを動く気はさらさらない。


マナの行動のおかげで、部屋の空気が変わった気がした。


ナナセも、ジムでアイリに相談を受けていたことや、マサヤのことで思い悩んでいたアイリの不安定な様子を語った。

すると、それを耳にしたマサヤの顔つきが一気にこわばる。

本性をむき出しにしたようなマサヤの黒い目つきを見て、一同に緊張が走った。