アイリの行動によって目にすることになった、イジメの実態とマサヤの暴言。
ミズキは、リョウに暴行を加えていたマサヤの動きの一部始終を、忘れてなどいない。
そういうことをしておきながら、平気な顔で日常を過ごしている人間への恐怖心と怒りで、ミズキの両手は震えていた。
不思議と、涙は出てこない。
流しすぎたゆえに、もう、涸(か)れてしまったのだろうか?
マナは強いまなざしでミズキの肩に手のひらを乗せた。
「ミズキちゃん。
我慢せず、思ったことを言ったらいいよ。
ミズキちゃんは、リョウ君のお姉さんなんだから……。
それでもし何かが起きても、私達がいる……!」
力強いマナの声にミズキが面(おもて)を上げると、ナナセとシュンも、マナのようにゆるみがない表情でミズキを見ていた。
「ミズキは一人じゃない」
「そうだよ。
俺達が、ミズキちゃんを守るから……!
我慢しないで……」
シュンとナナセ、それぞれの後押しにミズキはゆっくりうなずくと、同時に静かに覚悟を決め、アイリに連絡をした。
これから、マサヤに話をしに行くことを伝えるために……。
アイリはマサヤの携帯電話を預かったままなので、今頃、マサヤへの対応に困っているだろう。


