しゃぼん玉


リクは悟った。

翔子がヤカンの熱湯をメイにかけたのだと……。

翔子を問い詰めたかったが、本人は逃げるように仕事と言い訳し、ここを出て行ってしまったのでもう無理だ。

“なにが『手当てしてた』だよ!

アイスノン当ててるだけじゃねーか!

雑菌入ったらどうすんだよ!!

仕事なんてしてないくせに!

男に金の面倒見てもらってるくせに!!!”

リクは翔子に対して怒りを感じたが、グッと耐えてメイの治療をすることを考えた。


「メイ、消毒どこ?」

「そんなの、ない……。

ババアがそんなの買うわけないじゃん……」

氷以上に冷めた、メイの瞳。

リクは涙が出そうになった。

メイの肩は小さく震えており、それを見ているとリクはいたたまれなくなる……。

「家の鍵かせ!

薬局行ってくるから!!」

「…………」

メイは机の上にポツンと置かれた自宅の合鍵を指さした。