正美は、ミズキが切ったケーキを皿に移した。
「まだ、メイちゃんに関して煮え切らない思いがあるし……。
正直、リクにはミズキちゃんのような彼女を作ってほしかったと思ってしまうんだけど……。
あ、ナナセ君、ごめんなさい……」
「いえ、大丈夫です」
ナナセは正美の言いたいことを理解している。
「リクと、本当の意味で向き合っていかなきゃいけないわね。
メイちゃんとも……」
ゆっくりでいい。
前進を目指そう。
そう思えた時から、何かが変わる。
「リクにとって何が幸せなのかを、もっと考えてみるわ……。
でも、私は、取り返しのつかないことをしてしまった……」
正美は、メイに渡してしまった手切れ金のことを、言いにくそうに話した。
ミズキとナナセはそのことを知っているので、たいして驚かなかった。
「大丈夫ですよ。
穂積さんは、そのお金をリク君に返したいと言っていたそうです。
今日、そのお金をメグルちゃんが持って来てくれました。
私達は、その付き添いでここにお邪魔したんです……。
これから一緒に、リク君とメイちゃんを見守っていただけたら、私、すごく嬉しいです」
ミズキは言い、正美の両手をとった。
リクと考え方や行動の形は違えど、メイの虐待被害を知って、正美も長年、心を痛めていたのかもしれない。


