ナナセは苦笑いを浮かべ、
「うちの親も、そういうところありますよ」
と、正美に同調した。
ミズキも、正美を慰めるような口調で、
「私の親も、そうです。
食事中のマナーや挨拶、物の扱い方は、子供の時から教えられましたし……。
無作法なことをしたら、注意もされましたから」
「俺も、挨拶せずにご飯を食べた時とか、すごく叱られました」
ナナセは笑い話をするように穏やかな声だった。
正美の陰(かげ)った気分も、春の日差しのようにあたたかくなっていく。
「そう。あなたたちの親も、そうなの……。
……私、今まで間違っていたのかしら……。
リクにとっていい母親でいたい、そう思っていたのに。
そう思えば思うほど、メイちゃんのことを厳しい目で見て……」
“本の知識ばかりで、メイちゃんを判断していたのかもしれない……”
「私はいつの間にか、周りにもその価値観を押し付けていただけかもしれないわね……。
リクを叱っても、メイちゃんがこの家に来なくなってからも、気持ちは重たいままだったもの……」


